SNSが普及し、XやYouTubeで投資術などを投稿し注目を浴びている個人投資家。過去に2ちゃんねる掲示板でジェイコム株を大量誤発注し「ジェイコム男」と呼ばれてた個人投資家をご存じでしょうか。今回この記事では、ジェイコム男の現在とジェイコム株誤発注事件について解説していきます。
ジェイコム男の現在
2005年の「ジェイコム株大量誤発注事件」によって一気に有名になったBFN。この事件をきっかけにBFN氏はジェイコム男と呼ばれるようになりました。
2009年の暮れ頃までは、インタビューなどに出演していましたが、その後一切メディア出演が無くなり動向が不明となりました。
2024年に行われたcisとテスタの対談にてBFNの話題になり、数年前より四季報の大株主欄からBFNの名前が消えていたことが明かされました。現在は何をしているか不明ですが、「BFNはかなりの相場好き」と言われていたことから何らかの投資を続けていると予想されています。
ジェイコム株大量誤発注事件とは
BFN氏が有名になった「ジェイコム株大量誤発注事件」とはどのような出来事だったのでしょうか。ここではジェイコム株大量誤発注事件について解説していきます。
事件のきっかけ
ジェイコム株大量誤発注事件のきっかけは、みずほ証券の誤発注です。
2005年12月8日午前9時27分56秒、マザーズ市場に新規上場となった総合人材サービス会社ジェイコムの株式をみずほ証券の担当者が「61万円1株売り」のところ「1円61万株売り」と間違えて発注。この時、担当者の画面には「注文内容が異常」という警告が表示されていたが、度々表示されていたことから無視して注文します。
株価は急落
この売り注文が出る前までジェイコム株は90万円前後で推移していたが、大量の売り注文により初値は67.2万円に。その後も大量の売り注文が発生し、9時30分にはストップ安価格の57.2万円まで急落します。
誤発注という情報を見て大量の買い注文をした投資家や、急落に慌てた個人投資家が損切りするために安値で売り注文を出すなど大きな混乱が生じることとなりました。
みずほ証券はキャンセル注文するも受け付けられず
誤発注した担当者は注文を出した後に間違っていることに気付き、1分25秒後の9時29分21秒に取り消し注文を送信。しかし、東京証券所のシステムプログラムに隠れていたバグによって、取り消し注文が受け付けられず3度の取り消し注文を送信したが取り消すことはできません。東京証券取引所と直結した売買システムでも失敗し、直接電話して依頼したが取り消し注文は受け付けられなかったと言われています。
みずほ証券は反対売買を決意
取り消し注文の対応中にも買い注文は集中しており、このままでは約定される危険性がありました。みずほ証券は全発注量を反対売買によって買い戻すことを決意。反対売買によって株価は一気に上昇し、9時43分には77.2万円まで高騰。その後の株価は乱高下を伴いながら最終的にストップ高の77.2万円に張り付きます。
当日の18時にみずほ証券は会見を開き、誤発注の経緯などを説明。翌日には内部調査が行われジェイコム株は一時停止となりました。この誤発注や強制決済によって、みずほ証券は407億円の損失となったことを明かしています。
複数の個人トレーダーがこの事件で利益を上げる
この誤発注事件で複数の個人トレーダーが巨額の利益を得ています。その中でも有名なのが「BFN」「24歳会社員」「cis」の3人です。
BNFは事件当日に7100株を取得し、同日中に1100株を売却。残る6000株を現金決済し20億3500万円を得ています。巨額な利益を得たことからインターネット掲示板にて「ジェイコム男」と呼ばれるようになります。
当時24歳の会社員は、3701株を取得し現金決済で5億6300万円の利益を獲得。伝説の投資家とも言われるcisも10分で約6億円の利益を得たと言われています。
BNFの本名や経歴を紹介
BNFの本名や経歴について紹介します。
本名は小手川隆
BNFの本名は小手川隆という事が判明しています。インタビューやネット掲示板ではBNFや仮名で活動していたため本名を明かしておらず、なぜ世間に本名がばれたのか、その経緯については明らかになっていません。恐らく株式投資の大株主に載っている名前と掲示板で購入した株式の報告などから紐づいて判明したと考えられます。
経歴
BNFの経歴について紹介します。
大学生で投資を始める
千葉県市川市出身のBNF。2000年に貯金やアルバイトで得た160万円を元手に投資を始めます。投資を始めたときには大学生だったが、卒業まで2科目の単位を残した状態で中退しています。
投資について情報収集するために、2ちゃんねる掲示板を利用。「市況実況板」「ニュース速報板」を利用し、「投資一般板」のスレッドには時折書き込みをしていたと言われています。
ジェイコム株大量誤発注事件で有名に
BNFはジェイコム株大量誤発注事件で20億円以上の利益を獲得。大量保有報告書に職業「無職」と記載したことから大富豪の無職としてネット上で注目を集めます。当時はニートという言葉が流行った時代でもあり「無職=ニート」と多くの人が認識。「ニートが不労所得で大金を得た」と日本中で大きな話題になり、マスコミから「ジェイコム男」という異名を得ます。
不動産投資にも手を出す
BNFは、不動産投資にも手を出しており、2008年には秋葉原駅前の商業ビル「チョムチョム秋葉原」の所有権を約90億円で取得。2011年には東京都千代田区外神田一丁目の「AKIBAカルチャーズZONE」を170億円で購入したと言われています。
現在「チョムチョム秋葉原」は東京海上プライベートリート投資法人へ売却しており、「AKIBAカルチャーズZONE」はいちご株式会社へ売却しています。
まとめ
今回は、ジェイコム男の現在やジェイコム株大量誤発注事件について解説しました。
ジェイコム株大量誤発注事件で多くの利益を獲得し、インターネットやマスコミから「ジェイコム男」という異名で呼ばれた個人投資家BFN氏。2024年時点で四季報にも名前が載らなくなり、現在の活動は不明となっています。長年投資家として活動していたことから現在も何らかの投資をしている可能性が高いでしょう。
過去にマスコミがBFNにインタビューした動画はYouTubeに投稿されています。興味のある方は、投資の参考になると思うので視聴してみてはいかがでしょうか。
